夜の果てへの旅〈上〉 (中公文庫)価格: 880円レビュー評価: 5.0 レビュー数:7 絶望の果てには奇妙な快楽が潜んでいる。
それに気づいている人は少なくないのだが、
それを追求するだけの勇気と機会と才能を持った人は極僅かしかいない。
セリーヌは、幸か不幸か、その全てに恵まれていた。
この『夜の果てへの旅』には特に気に入った一節があるのでここで紹介したいと思う。
セリーヌを手に取るほどの人ならきっと共感してくれるだろう。
「完全な敗北とは、要するに、忘れ去ること、とりわけ自分をくたばらせたものを
忘れ去ること、人間どもがどこまで意地悪か最後まで気づかずにあの世へ去っちまうことだ。
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夜の果てへの旅〈下〉 (中公文庫)価格: 980円レビュー評価: 4.5 レビュー数:3 澁澤龍彦氏の文章で本書を知りました。
現実逃避の「自分探し」が氾濫する現代。
自己の存在を考えさせてくれる本でした。
生田氏の翻訳も、非常に切れがよく
わかりやすい文章で、読みやすいです。
ひたすら難解に、暗くなりそうな内容を
歴史や政治情勢に疎い人間でも理解でき、
内容に入り込めるものにしてくれています。
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眼球譚(初稿) (河出文庫)価格: 630円レビュー評価: 4.0 レビュー数:8 いや、すごく面白かった。
眼球譚という名前ではありますが、視覚から触覚への躄の文学であるように思います。バタイユは視覚から触覚へにじり寄っていく、否むしろ、視覚を触覚へとまろめこんでゆく。眼球を舐めさせる仕草に見られるように、「みること」は「さわること」によって舐め取られてゆきます。
円い尻、その尻に挟まれる卵、皿に並べられた牛の睾丸、そして切り取られた眼球。
球形の滑らかな形状は、触覚の甘美な記憶を呼び起こします。触覚とは確かな実在感覚であります。同時に安住できる感覚でもあるように思われます。
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オートバイ (白水Uブックス (54))価格: 998円レビュー評価: 5.0 レビュー数:2 フランス北部の街に住む19歳のレベッカは、ふた月半前、高校教師のレーモンと結婚したばかり。だが、気まぐれで、強情、無鉄砲な彼女は、夫婦生活に早くも憂鬱と倦怠を募らせる。〈レーモンのそばでは、あたしの暮らしは石みたいだ……〉
レベッカは、夫の目を盗んではドイツ・ハイデルベルクに住む情夫ダニエルのもとへ愛車のハーレーを駆り立てる。男は彼女よりふた回りも年上で、神秘学を愛好するという謎めいた存在。とはいえ、彼女には大切な「教師」である。結婚前の彼女の肉体を目覚めさせ、さらにミステリアスな〈性愛の秘儀〉を伝授したのだ。それは雪に埋もれた林の中で、また、公衆浴場の待合 ...さらに詳しい情報はコチラ |
超現実主義宣言 (中公文庫)価格: 660円レビュー評価: 4.5 レビュー数:3 「シュルレアリスム宣言」といったら、岩波文庫の巌谷氏の訳本であるが、私は、こちらの生田氏の「超現実主義宣言」をお勧めする。
こちらのほうが、日本語に違和感がまったくなく、ブルトンの「自動筆記」が伝わってくる。
まるで、生田氏が自動筆記しているかのごとくである。
タイトルが、なじみのある「シュルレアリスム」という言葉も、訳されて「超現実主義」となっているが、あえて、それが、生田氏の訳のリズムを創りあげているように思われる。
ブルトンの「シュルレアリスム」とはなんぞや、と知りたければ、こちらの「超現実主義」を一読すべきであろう。詩、文学においても、 ...さらに詳しい情報はコチラ |
ダンディズム―栄光と悲惨 (中公文庫)価格: 660円レビュー評価: 4.5 レビュー数:4 訳業に於てはひたすら原文の味わいを和文へ置き換えることに徹した生田先生ですが、エッセイや書評となるとその筆は正に「戦闘的論客」そのもの!時に辛辣過ぎる程に冴える文章は、しかし「ダンディ」と呼ぶにふさわしい気品を備え、恰かもブランメルが冷ややかに揶揄しているかのよう。佛蘭西文學者では、澁澤と並ぶ流麗な文体の持ち主かと思います。金子國義氏の筆による表紙といい、文庫本の中では贅沢な企画と申せましょう。自ら豪華特装本を数多く世に送りだし、またビブリオフィルとしても高名であった真のシュルレアリスト、生田耕作の性向をこれ一冊で充分に知ることが出来ます。 しかし読後「ダンディ」に共感を覚えた人は、この書物 ...さらに詳しい情報はコチラ |
マダム・エドワルダ―バタイユ作品集 (角川文庫クラシックス)価格: 504円レビュー評価: 4.5 レビュー数:10 この小説というか散文はまぎれもなく露骨な性描写にあふれています。
とてもここには書けない性的な比喩、隠喩を用いています(笑)
巻末には難しい解説が掲載されていますが、そんなのほっておいて
バタイユの文章を味わって欲しい。
但し、ここまで徹底的にエロスに忠実なのは逆に哲学的になる
ということ。
逆説的に思えますが、もし人間が徹底的に快楽、快感を
味わった後、何を考えるかをテーマにしています。
そこまで考えるには私も本書を読んだ後歳月を要しました。
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呪われた部分 (ジョルジュ・バタイユ著作集)価格: 2,730円レビュー評価: 5.0 レビュー数:4 バタイユの著作の中ではかなりわかりやすい。
きちんと論理だてられて書かれた本であり、バタイユを初めて読む人にも薦められる。
バタイユは、これまでの経済学が地域や国家の内側に限られたものであったことを指摘し、新たに世界レベルの視野を持つ「普遍経済」を立ち上げる。
そして、世界レベルで見れば、常に生産されたエネルギーは必要量を上回っているため、余剰が存在するという。
そのためバタイユは、これまでの経済学の生産・蓄積・有効な消費、というサイクルでは見落とされていた、非生産的な消費が非常に重要なのだとする。
この、非生産的消費 ...さらに詳しい情報はコチラ |
地下鉄のザジ (中公文庫)価格: 740円レビュー評価: 4.0 レビュー数:9 なんだかぐるぐる回っている。
主人公ザジの珍奇な名セリフ「けつくらえ!」にしても、鸚鵡の「しゃべれしゃべれ、それだけが取り得さ」にしても、世界そのものにしても、繰り返されたり脈絡がなくなったりで、ちっとも落ち着いていない。
だがそこがいいところで、突如町のはずれに現れた簡易遊園地みたいな、不思議なテンションの高さが魅力。
文学とかシュルレアリズムとか、小難しいこと言ってると、きっとうまく楽しみきれない。
映画のザジもまたかわいい。
エスカルゴの殻をおじさんに投げつけるシーンは、今でももっとも ...さらに詳しい情報はコチラ |
狼の太陽―マンディアルグ短編集 (白水Uブックス)価格: 914円レビュー評価: 4.5 レビュー数:4 作者ならではのイリュージョナルな世界が展開される6短篇。最初の「考古学者」は高踏的でかなり難解な作品だ。デコラティブな曲折した文章が続き、迷路をたどるようでいささか疲れる。続く「小さな戦士」「赤いパン」「女子学生」は、まあ平均点といったところか。メインディッシュは最後の2編! 男が下等動物に奇怪な磔刑を執行される「断崖のオペラ」と、森の館を訪れた少女の恐怖体験を描いた「生首」だ。いずれもホラー色に彩られ、ピリ辛の刺激的フレーバーを堪能できる。
訳者の生田氏は、シュールの末裔のように言われているマンディアルグの作品スタイルを〈魔術的写実主義〉と規定する。彼のマジカ ...さらに詳しい情報はコチラ |
高等魔術の教理と祭儀 (教理篇)価格: 3,780円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 奇術師や魔女でなく、魔法道士について思考するならばこの書から始め
くてはいけません。
思想のロマンティシズムの原初にて極北がここにあります。
人間が生きて行くときの態度表明としての魔術、つまりは世界の捉え方
の根本思想が表明されています。
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葬儀 (河出文庫)価格: 1,155円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 読み終わるのがもったいなく感じるくらい素敵な本でした。
ジュネの本は、たしかに読みづらいのだけれど、言葉を噛み砕いて消化して吸収できると、おびただしい詩の世界が拡がるのです・・・うっとり。フランス語で読めれば最高なんでしょうね。
最初のほうにでてきた、亡き恋人の葬儀を、手の中の小さなマッチ箱で行う空想シーンが大好きです。
時にヒットラーとまぐわる夢想などは、小さな驚きとあまりの妄想ぶりに微笑みを交えながら読むことができます。
オススメです! ...さらに詳しい情報はコチラ |