万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)価格: 1,575円レビュー評価: 4.5 レビュー数:18 主人公が閉ざされた場所へ行き物語が語られ、主人公がそこから出て行くところで物語りは終わる。その形は「芽むしり仔撃ち」と共通しているものがあるが「芽むしり仔撃ち」が救いようの無い悲劇の形で終わるのに対して、この作品はある種の「希望」が描かれて終わる。
9年の時を経て大江氏の中で何が変化したのであろうか。大江氏は自らの「個人的な体験」を通して、人間存在の奥底に希望の種も見出したのだと私は信じたい。主人公は最終的に、残酷で不誠実で矮小な自分自身と向き合うことになるが、それでもその中でなんとか明日への一歩を踏み出していく。人はどうしようもない状況に陥った時、この作品の結末のような「希望」 ...さらに詳しい情報はコチラ |
田紳有楽;空気頭 (講談社文芸文庫)価格: 999円レビュー評価: 4.5 レビュー数:5 川上弘美が書いた書評を読んだ。そういえば昔買った覚えがある。はさまっていたレシートを見ると1993年。池の底ならぬ書棚に沈んで十余年である。空中移動や変身の術は身につけていないだろうが、確かに古色は帯びていた。
作品についてはあれこれ言うことはない。間然とするところのない、見事な文章である。とりわけ、小川芋銭の絵を思わせる「田紳有楽」は優れて視覚的でありながら、映像化は至難と思われる。これぞ文芸の力である。
一方解説は、素直を書けばいいものを、こね回してわざわざ難しくしているような文章である。あんたの偉いのはよくわかったから、わかるように書 ...さらに詳しい情報はコチラ |
夢の木坂分岐点 (新潮文庫)価格: 500円レビュー評価: 4.5 レビュー数:6 今では七瀬シリーズ三部作の「七瀬ふたたび」のようなポピュラーな作品で知られる筒井康隆は、一方では、読む人によって、極端に評価の分かれる作品を書く人でもある。この「夢の木坂分岐点」などは、その最たるものだろう。私が最初にこの作品を読んだときには、あまりに奇妙奇天烈なストーリーに付いていけず、途中で読むのを止めてしまったくらいであり、久し振りに完読に挑戦してみた今回も、途中で投げ出したくなる気持ちを抑えて、ようやく最後まで読み通したという感じなのである。
この作品は、主人公やその家族、職場の同僚や職場などの名前・名称が、夢から醒めたりして場面が変わる度に、1字ずつ変わ ...さらに詳しい情報はコチラ |
帰らざる夏 (講談社文芸文庫)価格: 1,995円レビュー評価: 4.5 レビュー数:2 戦争を知らない人間からすると異常だとしか思えない、当時の生や死に対する価値観や軍国思想。 この物語に登場する少年は、拒む理由がないまま流されて幼年学校に入学した、どこにでもいそうな普通の男の子です。そんな彼が厳しい訓練に明け暮れながらも次第に「軍人として」の自分を確立していく様がとても自然に描かれており、その純粋過ぎる想いに胸を打たれます。 徹底した「天皇崇拝」に傾倒していく彼の姿は、集団心理や洗脳などと言った言葉では到底言い表す事はできません。「理解できない」「異常だ」と決めつけて何も知ろうとしなかった自分に、糸口を与えてくれた貴重な作品です。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
沈黙価格: 1,575円レビュー評価: 4.5 レビュー数:72 鎖国した日本において、キリスト教を拡めようとした司教の物語です。
信仰心と慈悲の間で揺れ動く人間の心模様が印象的です。
かくも生真面目な生き方は現代的ではありませんが、ちょっと昔の生き方としてはある意味、共感します。
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やすらかに今はねむり給え;道 (講談社文芸文庫)価格: 897円レビュー評価: 3.0 レビュー数:1 原爆投下された日、川に泳ぎに行って飛び込んでいて助かった人、トイレに入っていて、光線をさえぎる壁側に寝ていて、命拾いをした人。同じ場所で働く学徒動員の仲間でも生死を分けた。(被爆者談)この本は、本来学生でありながら、学業は中断し長崎の兵器工場に動員された学生の記録です。そこにはドラマが描かれているわけではありませんが、事実を記録しているその行間から物語が伝わってきます。当時の生徒の思い、教師の、家族の思いが伺えます。少し難しいかもしれませんが、こういう記録を読むことも大切だと思います。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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